一般内科
アレルギー性鼻炎
人間には鼻から吸い込んだ異物を、くしゃみや鼻水で排除する機能や、鼻詰まりを起こして体内に侵入しにくくする機能があります。
ただし、アレルギー性鼻炎を起こすと、さほど有害でないものに対しても過剰反応を起こすようになるため、くしゃみや鼻水、鼻づまりが頻発して苦しむことになります。近年多くの人が悩まされている花粉症も同じメカニズムで起こります。アレルギー性鼻炎が自然と治る例は少ないですし、現状では投薬による根治もほとんどできません。
こんなお悩みはありませんか?
- くしゃみ、鼻水、鼻づまりがひどい
- 目にかゆみがある
- 鼻水がさらさらしている
- 起床時に鼻炎症状が強い
アレルギー性鼻炎の原因
アレルギー性鼻炎の原因となる物質(アレルゲン)には、スギやブタクサなどの花粉、ハウスダストやダニ、カビやペットの毛などがあります。
アレルゲンが鼻から侵入し、免疫に異常を起こすと鼻腔の粘膜に炎症が発生し、くしゃみや鼻水、鼻づまりや目のかゆみ、のどの違和感や鼻炎のほか、頭痛などが起こりやすくなります。
また、タバコの煙や大気中の有害物質、乾燥や睡眠不足、ストレスなどもアレルギー鼻炎に関連するので、まず検査で原因を特定することが重要です。
アレルギー性鼻炎の治療法
アレルギー性鼻炎の治療には、症状を緩和する対処的薬物治療と、アレルゲン(アレルギーの原因物質)への過剰反応を起こさなくなる根本治療に分けられます。
対処的薬物療法はくしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状を緩和するので、その場の苦痛を緩和しますが根治はできません。一方、アレルゲン免疫療法などの根本治療は根治できる場合もありますが、ある程度の期間を必要とします。そのため、アレルゲンの排除やできるだけ触れない対策も必要です。
花粉症
花粉症は、花粉が原因で発症するアレルギー反応の一種です。春や秋などの花粉が多く飛散する時期に、鼻や目、喉などの粘膜に炎症を引き起こし、くしゃみ・鼻水・目のかゆみ・涙目・喉の痛みなどの症状が現れます。代表的な原因となる花粉は、スギやヒノキ、イネ科の植物などの花粉で、これらが空気中に舞うことによって、アレルギー反応が起こります。花粉症は、免疫系がこれらの花粉を有害な物質と誤認し、過剰に反応することによって引き起こされます。
治療方法としては、抗ヒスタミン薬・点鼻薬・アレルギー免疫療法などがあり、症状を軽減するための対策が求められます。
こんなお悩みはありませんか?
- くしゃみが止まらない
- サラサラとした無色な鼻水がでる
- 頻繁に鼻をかむことで鼻血が出る
- 季節によって鼻づまりが起こる
花粉症の原因
花粉症は、免疫システムが無害な花粉を過剰に反応させることによって起こります。免疫システムは本来、身体を守るために病原体や有害な物質に対して反応しますが、花粉のような無害な物質にも反応してしまうことで、アレルギー症状が引き起こされます。この過剰な免疫反応によって、鼻や目、喉の粘膜に炎症が生じ、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状が現れます。
花粉症の治療法
花粉症の治療は、抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬を使用して症状を緩和する方法が一般的で、さらに免疫療法や生活環境の改善も期待できます。
睡眠時無呼吸症候群
名称の通り、眠っているときに呼吸が止まったり低呼吸状態になったりする疾患ですが、時間当たりの呼吸が止まる回数や症状の出る時間は医学的に定義されているため、わずかな呼吸低下などはこの疾患に含みません。
睡眠時に呼吸量が減ると、睡眠の満足感が得られませんし、起きている間に眠気が起きやすくなり、仕事のミスや交通事故などのリスクが上がります。また、睡眠時無呼吸症候群が続くと、脳や心臓、血管などにダメージがおよぶ場合もあります。
こんなお悩みはありませんか?
- 睡眠中に呼吸が止まる
- 大きないびきをかく
- 睡眠中に息苦しさを感じる
- 夜中に何度も目が覚める
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群の主な原因は、気道が閉塞することです。特に肥満がある場合、のどにも脂肪がたまるので気道が狭くなりがちです。そのため、肥満と睡眠時無呼吸症候群の関係性は強く、睡眠時無呼吸症候群を発症している人の6割以上に肥満が見られることがわかっています。
ただし、痩せている人でも扁桃腺が大きい場合や、下あごの大きさや形状によって睡眠時無呼吸症候群を発症する例があるので、体形だけで判断しないようご注意ください。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
睡眠時無呼吸症候群の治療は症状の進行度合いによって変わります。
症状が軽い場合や中程度の場合は、睡眠時にマウスピースを装着することで気道を確保できるようにします。中程度以上であれば、睡眠時に鼻に装着したマスクで空気を送り込むCPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)が有効です。
重症の方に対しては外科的治療による改善を提案することもありますが、治療後に再発する例もあるので、事前に十分な検討を行う必要があります。
気管支喘息
気管支喘息は、気道が炎症を起こし、喘鳴・呼吸困難・咳などの症状を引き起こす慢性的な疾患で、アレルギーや環境要因が原因となることが多いです。
発作は気道が狭くなり、空気の流れが制限されることによって生じ、治療には吸入薬や抗炎症薬が用いられます。
こんなお悩みはありませんか?
- 咳がずっと続く
- 痰がずっと出る
- 息苦しさ、胸苦しさがある
- 呼吸困難などの発作症状がでる
気管支喘息の原因
基本的には、アレルゲンが主な原因です。車の排気ガスや有害物質・カビ・ホコリ・ダニ・ペットの毛・花粉なども気管支喘息を引き起こすことがあります。治療において重要なのは、これらのアレルゲンを特定することです。
気管支喘息の治療法
気管支喘息の治療には、主に「発作治療」「抗炎症治療」「環境整備」の3つのアプローチがあります。
喘息発作が発生した際の治療では、狭くなった気道を広げることが重要です。このため、主に「気管支拡張薬」が使用されます。一方、気道のアレルギー性炎症を鎮めるための薬は「長期管理薬」と呼ばれ、発作がない時にも継続的に服用することで、喘息発作を予防する効果があります。
気管支炎
「気管支炎」とは、気管や気管支で起きる炎症であり、痰や咳などの症状を伴います。気管支炎が長引くと咳などで体力を消耗するため、特に高齢の方やお子様にとっては注意すべき疾患です。
気管支炎は慢性と急性に分類され、症状が90日以内に治まれば急性、それ以上続くと慢性として扱います。気管支炎は数日から数週間で症状が治まる急性の気管支炎も多いですが、長期間治療を続けている方も多く、当院では状況を踏まえた治療を行っています。
こんなお悩みはありませんか?
- から咳が出る
- 黄色い膿のような痰が出る
- 咳込むと胸の奥が痛む
- 運動すると激しく咳込む
気管支炎の原因
急性気管支炎の原因は、気管支(気管が枝分かれして肺に至る気道)に入り込む細菌やウイルスです。さらに詳しく言うと、百日咳菌やマイコプラズマなどの細菌、RSウイルスやインフルエンザウイルス、微粒子やガスなどがもたらす刺激など、原因はさまざまです。
一方の慢性気管支炎は、タバコや大気中の有害物質が要因です。タバコの煙や有害物質を吸い込むと、気管支に炎症が起きますし、肺気腫やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に至ることもあります。
気管支炎の治療法
急性気管支炎の場合、主な治療は投薬と安静です。身体を休めつつ栄養を取って回復を促すことが重要ですが、乾燥する時期なら加湿して痰を排出しやすくする配慮も必要です。状況によって痰を出しやすくする去痰薬や、気管支拡張剤を処方することもあります。
慢性気管支炎の場合、気管支拡張剤の投薬(場合によって去痰薬も併用)と禁煙が主たる治療です。
状態が悪化すると酸素吸入が必要となる場合もあるので、重症化を防ぐことが重要です。
下痢症/便秘症
便秘とは、排便が困難になったり、1回の排便量が少なくなる状態です。食事や運動不足が原因となることもあれば、腸閉塞や大腸がんなどの疾患が原因の場合もあります。その反面下痢は、水分量が多く、液状またはそれに近い便が何度も排出される状態を指します。また、軟便は液状まではいかないが、通常より軟らかい便のことです。便の状態は水分量に大きく関係しており、理想的な便(バナナ状)は水分が70~80%で、これが80%を超えると軟便、90%を超えると下痢となります。
こんなお悩みはありませんか?
- 急に激しい下痢になった
- 便に血が混じっている
- 1回の排便量が少ない
- 排便が困難
下痢症/便秘症の原因
便秘と下痢が繰り返される場合、過敏性腸症候群や大腸がんなどが考えられます。しかし、腸は脳の影響を受けやすい器官であるため、ストレスや悩み、不規則な生活による自律神経の乱れが原因で便秘や下痢が起こることも少なくありません。また、毎日排便があっても、便が腸に引っかかって滞留すると、その周りに軟便が目立ったり、引っかかった便が一気に出ることで下痢のように見えることもあります。
下痢症/便秘症の治療法
過敏性腸症候群や大腸がんなど、原因となる疾患が明確である場合は、それぞれに適した治療を行い、必要な案内をいたします。その他、ストレスや生活習慣が大きな影響を与える場合も、それらの改善も重要な治療の一部となります。
胃腸炎
胃腸炎は、胃や腸に炎症が生じることにより、下痢や腹痛が引き起こされる疾患の総称です。発熱や頭痛、倦怠感を伴うこともあります。
通常、胃腸炎の原因は細菌やウイルスなどの微生物による感染ですが、毒性の化学物質や薬の摂取も原因となることがあります。
こんなお悩みはありませんか?
- 胃がムカムカする
- 胸やけがする
- 嘔吐や吐き気を繰り返す
- 下痢を繰り返す
胃腸炎の原因
胃腸炎の主な原因は、ウイルスなどの感染症によるもので、これを一般的に感染性胃腸炎と言います。感染は食物やウイルスが付着した物を触ることなどで広がりますが、どの食物が原因かを特定することは難しいことが多いです。ただし、原因と考えられる食品に触れてから症状が現れるまでの時間は、診断の手がかりとなることがあります。
気管支炎の治療法
ウイルス性胃腸炎には特効薬がなく、抗生物質は効果がありません。そのため、症状を和らげるために整腸剤や解熱剤、吐き気止めが使われますが、下痢止めは推奨されません。水分補給ができれば点滴は不要ですが、重度の脱水には点滴が使われることもあります。治癒には個人差があり、数時間から数週間、場合によっては1ヵ月以上続くこともあります。
不眠症
1ヶ月以上にわたり、眠れない、夜中に目が覚める、睡眠時間が短いといった睡眠の問題が続き、その結果、日中に倦怠感や意欲の低下、集中力の低下、食欲不振などの不調が現れる病気です。 不眠の原因は、ストレスや心身の病気、薬の副作用など様々で、原因に応じた適切な対処が求められます。不眠が続くと、不眠への恐怖が強まり、睡眠に対する過度なこだわりや緊張が生じ、かえって不眠が悪化するという悪循環に陥ることがあります。
こんなお悩みはありませんか?
- 寝つくまでに時間が掛かるようになった
- いったん寝入っても、夜中に何度も目が覚める
- かなり早く目覚めるようになり、その後も寝つけない
- 睡眠時間は確保しているが、眠りが浅く、眠った気がしない
不眠症の原因
睡眠トラブルの原因には、環境の変化、身体的問題、心理的要因、生活習慣があります。ライフスタイルの多様化や過度なストレス、高齢化が影響し、不眠症を訴える人が増えています。日本では成人の約5人に1人が睡眠問題を抱えています。
不眠症の治療法
不眠症の治療は、原因により異なりますが、主に生活習慣の改善を中心とした非薬物療法と薬物療法があります。
非薬物療法では、体内時計を整えるための朝日を浴びる、適度な運動、睡眠環境の調整などが推奨されます。また、食事は睡眠の4時間前に済ませ、入浴は1~2時間前に行うことが重要です。
薬物療法では、睡眠導入剤が使用され、安全性の高い薬が多く開発されています。必要に応じて、抗うつ薬や抗不安薬が処方されることもあります。
片頭痛
片頭痛は、こめかみ付近に痛みと吐き気を伴い、月に1〜2回、ひどい場合は週に1〜2回発生します。
原因は完全には解明されていませんが、光や音、においが引き金となり、神経や血管に炎症を引き起こすと考えられています。片頭痛には前兆があるタイプとないタイプがあり、痛み方や頻度に個人差があります。
こんなお悩みはありませんか?
- 頭痛が始まると4時間~3日ほど続く
- 頭痛のときに吐き気を催すことがある
- 頭痛が始まると寝込むほど痛くなる
- アルコール(とくに赤ワイン)を飲むと必ず痛くなる
片頭痛の原因
片頭痛は、三叉神経から痛み物質が分泌され、血管を拡張させたり炎症を引き起こしたりすることで発生するとされています。片頭痛患者の約75%が何らかのきっかけを経験しています。誘発・増悪因子としては「ストレス」「疲れ」「寝不足・寝すぎ」「月経周期」「天気の変化」「温度差」などがあり、患者ごとに異なります。自分の誘発因子を把握することで、より効果的な治療が可能になります。
片頭痛の治療法
片頭痛の薬物治療には、急性期治療薬と予防薬があります。急性期治療薬には、アセトアミノフェン、NSAIDs、トリプタン製剤があります。予防薬には、抗てんかん薬(バルプロ酸)、降圧薬(ロメリジン、プロプラノールール)、抗うつ薬(アミトリプチリン)などが使われます。これらは他の疾患向けに開発され、片頭痛にも効果が確認されています。
前立腺肥大症
前立腺肥大症は、加齢に伴い前立腺が大きくなり、尿道を圧迫して尿が出にくくなる病気です。通常、前立腺はクルミ大の大きさですが、肥大すると鶏卵大以上に膨らみ、進行すると尿が全く出なくなることもあります。
こんなお悩みはありませんか?
- トイレに行く回数が増えた
- 尿の勢いが弱くなった
- トイレに行ってもまたすぐに行きたくなる
- 尿の勢いが弱くなった
前立腺肥大症
前立腺肥大症の原因ははっきりしていませんが、主に男性ホルモンが関与していると考えられています。
前立腺の生殖機能は男性ホルモンによって支えられており、加齢とともにホルモンの分泌バランスが変化することで肥大が進行するとされています。また、肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)など、生活習慣病との関連も指摘されています。
前立腺肥大症
前立腺肥大症の初期段階では薬物療法が行われ、効果が不十分な場合や重篤な合併症が発生した場合は手術が選択されます。手術には、内視鏡を使って肥大部分を削る経尿道的前立腺切除術と、肥大が大きすぎる場合に行う開腹手術があります。
膀胱炎
膀胱炎とは、膀胱に細菌などの異物が侵入したことによって炎症を起こす疾患です。
膀胱炎の代表的な症状は、排尿の際に起こる差し込むような痛みです。また、排尿回数が増えがちで、30~60分に1回程度尿意を感じることもあります。
さらに細菌と戦った白血球や膀胱の粘膜が混在して尿が濁るほか、血尿(尿に血が混入する)などの症状も見られます。排尿時の痛みは、排尿を終えるころに伴うことが多いです。
こんなお悩みはありませんか?
- 1日に何度もトイレに行きたくなる
- 排尿する時に痛みを感じる
- 排尿してもスッキリしない
- 尿に血が混じっている
膀胱炎の原因
膀胱は尿をためる粘膜の袋ですが、大腸菌などが外部から尿道口に侵入し、尿道をさかのぼって膀胱に入ることがあります。
膀胱炎は男性よりも圧倒的に女性に多い疾患です。これは女性の身体構造的に尿道が短いため、性行為や生理の際に細菌が侵入しやすいことに起因します。膀胱に細菌が侵入しても尿とともに排出されることが多いですが、排尿を我慢したり体調不良があったりすると膀胱炎のリスクが上がります。
膀胱炎の治療法
膀胱炎の治療においては、抗生物質を投与して疾患の原因となっている膀胱内の菌を死滅させる方法が有効です。多くの場合、抗生物質の投与から3日以内に症状は治まりますし、遅い場合でも1週間あれば治癒できます。
この間は意識的に水分を取って尿の量を増やすことが重要です。また、症状が治まっても再発を防ぐために尿検査を受けることも忘れないでください。近年は薬が効きにくい耐性菌も増えているので油断は禁物です。
その他の一般内科の疾患
風邪
風邪は、主にウイルスによって引き起こされる上気道の感染症で、一般的には軽い症状が多いです。風邪の症状には、喉の痛み、鼻水、咳、くしゃみ、軽い発熱、頭痛などがあります。風邪は通常、他の人との接触や、ウイルスが付着した物を触れることによって広がります。
扁桃炎
扁桃炎(へんとうえん)は、扁桃(扁桃腺)と呼ばれる喉の両側に位置するリンパ組織の炎症です。扁桃は、体内に侵入しようとする細菌やウイルスを防ぐ役割を持っていますが、感染や過剰な刺激によって炎症を起こすことがあります。
インフルエンザ
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性の呼吸器感染症で、毎年冬季に流行することが多いです。インフルエンザは風邪と似た症状を示すこともありますが、風邪よりも症状が急激に現れ、重症化することがあるため注意が必要です。
慢性心不全
咽頭炎は、喉の奥の炎症で、痛みや発熱、咳が症状として現れます。主にウイルスや細菌が原因で、ウイルス性は軽症で自然に回復しますが、細菌性は抗生物質が必要です。
貧血
貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足し、酸素の運搬能力が低下する状態です。主な症状は、疲れやすさ、息切れ、めまいなどです。
高尿酸血症・痛風
高尿酸血症は血中尿酸が高くなる状態で、痛風はその結果として関節に炎症が起こります。激しい痛みや腫れが特徴で、治療には薬や食事の改善が必要です。
めまい症
めまい症は、頭がふらつく感覚や平衡感覚の異常を伴う状態です。原因は内耳の障害や血圧の変動、ストレスなど様々です。症状に応じた治療が必要で、薬物療法や生活習慣の改善が行われます。
過活動性膀胱
過活動性膀胱は、膀胱が異常に活発に収縮し、頻尿や急に強い尿意が生じる状態です。夜間頻尿や尿漏れを伴うこともあります。治療には薬物療法や生活習慣の改善が有効です。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は、甲状腺が十分なホルモンを分泌できない状態です。症状には、疲れやすさ、体重増加、寒がり、便秘などがあります。治療は甲状腺ホルモンの補充療法が主で、適切な管理で症状は改善します。
消化器内科
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、いったん胃に入った食べ物や胃液が食道に逆流する疾患です。
症状として代表的なのは、胸やけや吞酸(胃酸の逆流による酸っぱみやにがみ、げっぷ)、のどの違和感や嘔吐などです。また、食道には胃酸に耐える能力がないので、炎症が起きますし、びらん(粘膜がただれる状態)や潰瘍ができることもあり得ます。
逆流性食道炎は過去の日本では少ない疾患でしたが、近年食生活の変化などで発症例が増えています。
こんなお悩みはありませんか?
- みぞおちやその背中側がキリキリと痛い
- 胃酸が逆流してくる感じがする
- 喉につかえる感じがする
- 飲み込む際に喉の違和感を認める
逆流性食道炎の原因
胃と食道の境界部には下部食道括約筋があり、その働きによって逆流が起きないようになっています。しかし、下部食道括約筋の機能が落ちると胃の内容物や胃液が逆流し、逆流性食道炎を起こします。
また食道が本来もつ下方に向かって内容物を送る機能が低下すると、胃から逆流したものを胃に戻すことが難しくなり、これも炎症に繋がります。
上記以外でも、食べ過ぎや肥満、脂肪分やたんぱく質の過剰摂取、加齢や姿勢の悪さなども逆流性食道炎の原因となります。
逆流性食道炎の治療法
逆流性食道炎の治療は薬物療法と生活習慣の見直しが基本です。
使用する薬剤はH2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬で、これらは胃酸の分泌を抑えて症状を緩和します。
見直すべき生活習慣には、肉や脂もの中心の食事、満腹になりがち、食後に横になる習慣などがあります。また、肥満や喫煙・飲酒、腹部を締め付ける衣服や動作、姿勢の悪さなども好ましくないので、患者様のライフスタイルや姿勢などをチェックしながら改善の提案を行います。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛や膨満感・下痢・便秘などの症状が繰り返し起こる腸の機能的な障害です。ストレスや食事、生活習慣が症状を引き起こすことがありますが、腸に明らかな異常は見られません。
こんなお悩みはありませんか?
- 緊張すると腹痛がする
- 慢性的にお腹の張りを感じる
- 下痢と便秘を繰り返している
- 残便感がある
過敏性腸症候群の原因
はっきりとした原因は不明ですが、ストレスや過度の緊張、腸内細菌叢の変化などが関係している可能性が指摘されています。また、粘膜の炎症や遺伝的要因も影響を与えていると考えられています。
過敏性腸症候群の治療法
過敏性腸症候群の治療法には、食事の改善やストレス管理、薬物療法、腸内細菌叢の調整などがあり、症状に応じて個別に対応することが重要です。
ピロリ菌感染/慢性胃炎
ピロリ菌に感染すると胃潰瘍や胃腸炎のほか、胃がんなどの疾患を発症するリスクが上がります。日本人は50代以上で7~8割程度の人がピロリ菌に感染していると言われているので、中年以上の方は前向きに検査することをおすすめします。
ピロリ菌は正式にはヘリコバクター・ピロリ菌と名づけられており、胃の粘膜に生息します。胃酸は非常に強い酸性の物質ですが、ピロリ菌はアルカリ性の物質を出して酸を中和することで胃の内部に生息することを可能とする細菌です。
こんなお悩みはありませんか?
- ピロリ菌がいるといわれたが除菌していない
- 薬を飲んでも胃痛がよくならない
- 食欲不振などが続いている
- げっぷがよく出る
ピロリ菌感染/慢性胃炎の原因
ピロリ菌がどのようにして人間の体内に侵入するのかは完全には解明されていませんが、土壌や井戸水に生息するため、食べ物や水を介して人体に入り込むと予想されています。
近年の日本では井戸の使用は減っていますが、以前は頻繁に使われていたため、感染が多かったようです。50代以上の人に感染が多いのも上記の理由が考えられます。
また、ピロリ菌は大人同士では感染しませんが、大人から子どもには感染するため、箸やスプーンの使いまわしなどには注意が必要です。
ピロリ菌感染/慢性胃炎の治療法
ピロリ菌の感染が判明した場合には、抗生物質の内服によるピロリ菌の除菌を行います。
除菌後にはピロリ菌がいなくなっていることを確認するため、抗生物質の内服終了後、8週間後以降に尿素呼気試験を行い判定します。1回目の除菌を1次除菌と呼び、1次除菌でピロリ菌が残ってしまった場合には、2次除菌(2回目の除菌)を行います。
2次除菌が成功しなかった場合には、3次除菌を行うことも可能ではありますが、保険診療で行うことができるのは2次除菌までとなります。
胃潰瘍 /十二指腸潰瘍
「潰瘍」とは組織の一部が欠損した状態であり、胃潰瘍は胃壁がダメージを受けて欠けた状態を指します。
胃壁は複数の層で構成されていますが、粘膜層(最も胃の内側:食したものが触れる層)で起こる欠損は「胃びらん」と呼ばれます。胃潰瘍は粘膜層を超えて奥側で起こる欠損で、その厚さは2~3ミリを超えます。また、さらに奥の層まで欠損した場合は、治療の傷痕として「潰瘍瘢痕」が残ります。
こんなお悩みはありませんか?
- 空腹時に胃が痛くなる
- 食後に胃痛がする
- 黒い便が出ることがある
- 胃もたれがよく起こる
胃潰瘍 /十二指腸潰瘍の原因
胃酸は強い酸性の物質ですが、健康な状態であれば胃粘膜が胃酸でダメージを受けることはありません。これは胃粘膜から胃粘液が出て酸を中和しているからです。
しかし、ピロリ菌に感染していたり、非ステロイド性抗炎症薬を含む鎮痛解熱剤を服用したりすると、胃粘膜の防御機能が低下して胃酸と胃粘液のバランスが崩れます。また喫煙や飲酒、ストレスの影響でも胃粘液の分泌が低下して胃潰瘍につながることがあります。
胃潰瘍 /十二指腸潰瘍の治療法
胃潰瘍の治療は投薬や内視鏡が主流です。
まず、出血があれば内視鏡を使って止血します。出血がなければ、胃酸の分泌を控えめにする目的で、H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬を処方します。また、状況によって胃の血流を良くする薬や胃粘膜を守る薬を出す場合もあります。
過去には胃潰瘍の治療で手術を行うこともありましたが、医療の進歩によって手術を必要とする例はほぼ見られなくなっています。
痔(いぼ痔・切れ痔)
便秘や長時間座りっぱなしで肛門に負担がかかると、痔を引き起こすことがあります。強くいきむことで血行障害が起き、いぼ痔(痔核)になることがあります。また、硬い便が肛門を傷つけ、切れ痔(裂肛)を引き起こすこともあります。
こんなお悩みはありませんか?
- おしりから出血がある
- おしり付近がじんじんと痛む
- 排便時に痛みがある
- なんとなくおしりのあたりがむず痒い
痔(いぼ痔・切れ痔)の原因
いぼ痔・切れ痔は、いきみや肛門への負担が原因で、直腸や肛門の毛細血管がうっ血し、腫れが生じて発症します。切れ痔は、硬い便が肛門の外壁を傷つけて裂け、出血を引き起こします。両方とも、姿勢や食生活、体重増加、過労、薬の常用、ストレスなどが関与し、便秘や妊娠・出産が引き金になることもあります。
痔(いぼ痔・切れ痔)の治療法
いぼ痔の治療は、便秘を防ぎ痔核の悪化を防止することが基本です。水分や食物繊維をしっかり摂取し、便意を我慢せず、肛門周辺の血行を促進するために入浴や座浴を取り入れることが推奨されます。また、緩下剤や抗炎症作用のある坐薬・軟膏を使って症状を改善します。それでも効果が見られない場合、外科手術が必要となることがあります。
切れ痔の治療では、食物繊維を十分に摂り、膨張性下剤で便秘や下痢を改善することが大切です。肛門の衛生を保つため、入浴や座浴を行い、痛みや腫れには軟膏が処方されることがあります。それでも改善しない場合は、外科的な治療が選択されることがあります。
機能性ディスペプシア
食後のもたれや心窩部灼熱感、心窩部痛や早期飽満感のひとつ以上を6ヶ月以上前から感じており、それが3ヶ月以上続いているのに、胃カメラなどの検査を実施しても病変が見つからなかった場合、機能性ディスペプシアと診断されます。胃に関する症状で医療機関を利用した人の4~5割程度の人が機能性ディスペプシアと診断されますし、健康診断でも1割以上の確率で見つかるため、患者数が多い疾患です。
こんなお悩みはありませんか?
- 胃がもたれることがある
- みぞおちが焼けるように痛む
- 食べすぎていないのに胃がもたれる
- 食後に不快感や吐き気を感じることがある
機能性ディスペプシアの原因
機能性ディスペプシアは単一の原因で発症するよりも複数の原因が関連しあって発症することが多い疾患です。
機能性ディスペプシアの原因は完全には解明されていませんが、胃や十二指腸の機能障害、胃や十二指腸の痛みを感じる器官の障害に起因する知覚過敏、胃や十二指腸の制御をつかさどる自律神経へのストレスや過労に起因する障害、胃酸による刺激の4つが関連することが多いとされています。また、ピロリ菌やサルモネラ菌肝炎による胃腸炎、飲酒や喫煙などの関連も考えられます。
機能性ディスペプシアの治療法
機能性ディスペプシアの治療は内服薬の処方が中心です。処方することが多いのは、胃の働きを助ける消化管運動改善薬や、胃酸の分泌量を減らす胃酸分泌抑制薬などです。
また、生活習慣やストレスも関連してくる疾患ですから、食事の内容や食事のとり方の改善、ストレスをためないことや解消すること、身体疲労の原因を遠ざけること、嗜好品や刺激物を控えめにすることなど、日常生活を意識的に見直すことも重要です。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜と粘膜下層に炎症が起こり、びらんや潰瘍が形成される疾患です。直腸は必ず炎症を起こします。原因は不明ですが、ストレスや免疫異常が関与していると考えられています。この病気は主に30歳以下の成人に多く、長期にわたって炎症が続くと、症状が悪化する傾向があります。持続的な下痢や血便が特徴的で、免疫機構に関係しており、全身的な疾患とされています。
こんなお悩みはありませんか?
- 下痢が続いている
- 血便が出た
- 貧血気味になってきた
- 脈が速くなっている気がする
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の原因は現在も不明ですが、自己免疫異常、腸内細菌、食生活が関与しているとされています。家族に発症例が見られることもあり、遺伝子因子が関与している可能性があります。遺伝子因子と食生活をはじめとする環境因子が複合的に影響していると考えられています。
潰瘍性大腸炎の治療法
潰瘍性大腸炎の治療は、腸の炎症を抑えるために5-ASA製剤、免疫抑制剤、ステロイド剤が使われます。全大腸に症状が10年以上続くと発がんリスクが高くなるため、定期的な経過観察が必要です。
感染性胃腸炎
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌・寄生虫などによって引き起こされる胃や腸の炎症です。主な症状は、下痢・嘔吐・腹痛・発熱などで、感染経路は食べ物や水、接触を通じて広がります。特にノロウイルスやロタウイルスが一般的な原因です。治療は症状の緩和が中心で、脱水症状の予防が重要です。
こんなお悩みはありませんか?
- 突然の吐き気や嘔吐がある
- 食欲がない
- 微熱が出たり、高熱が出る
- 水のような便が頻繁に出る
感染性胃腸炎の原因
感染性胃腸炎の主な原因は、ウイルス、細菌、寄生虫による感染です。具体的には、ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルス、サルモネラ、カンピロバクター、エシェリキア・コリなどの細菌、アメーバや寄生虫類が関与しています。これらの病原体は、主に汚染された飲食物や水を通じて感染し、また不衛生な環境や感染者との接触が感染リスクを高める要因となります。
感染性胃腸炎の治療法
感染性腸炎の治療は主に対症療法です。脱水を防ぐため、水分補給が最も重要で、軽症の場合は消化の良い食事や電解質飲料が効果的です。重症時には点滴が必要となることもあります。薬物治療としては整腸剤や吐き気止め、痛み止めを使用し、下痢止めは最小限に留めます。抗生物質は細菌感染にのみ使用され、ウイルス性感染には効果がありません。早期治療が重要です。
アニサキス
アニサキスは海洋の哺乳類や魚介類に寄生する線虫の一種です。私たちが食べる魚介類にも寄生しており、人間が摂取することがあります。アニサキスは人間の体内で成長することはなく、長期間生き続けることはありませんが、生きている間は激しい腹痛などの症状を引き起こすことがあります。そのため、注意が必要です。
こんなお悩みはありませんか?
- 吐き気
- みぞおちが激しく痛む
- 下腹部が激しく痛む
- じんましんが出てきた
アニサキスに感染する原因
アニサキスは、海洋の哺乳類や魚介類に寄生する線虫の一種です。通常、宿主を変えながら成長しますが、私たちが食べる魚介類にも寄生していることがあります。アニサキスは人間の体内で成長することはなく、長期間生きることもありませんが、生きている間は激しい腹痛などの症状を引き起こし、食中毒を引き起こすことがあります。そのため、注意が必要です。
アニサキスの治療法
アニサキスの治療は、内視鏡で除去することが一般的です。駆虫薬はなく、確認できない場合は超音波やX線で診断し、対症療法を行います。合併症があれば外科的処置が必要です。
大腸ポリープ
大腸ポリープとは、大腸の粘膜部に発生する、イボのように隆起した組織です。また、大腸ポリープには腫瘍性のものと非腫瘍性のものがあり、腫瘍性の場合は将来がん化する可能性があります。
大腸ポリープは初期段階では自覚症状がないですが、大きくなると大腸の内腔を塞いでしまうこともあります。すると便が通りにくくなりますから、腹痛や便秘、下痢などの症状が出ることがありますし、便の通過時に出血を伴うケースも見られます。
こんなお悩みはありませんか?
- 腹部に張りがある
- よく下痢・便秘になる
- 血便が出た
- 急に体重が減少した
大腸ポリープの原因
大腸ポリープ発生の原因は完全には解明されていません。家族や親戚で頻発する家族性大腸ポリポーシスがあることなどから遺伝的要素が関わるとされていますが、外的要因も絡んで発生するとも言われます。
外的要因として大きいのが生活習慣です。過度なアルコール摂取や喫煙、脂ものが多い食生活を続けると、ポリープができやすいという考えが有力です。
また、家族性大腸ポリポーシスを放置するとほぼ全数が大腸がんに移行するので注意が必要です。
大腸ポリープの治療法
大腸ポリープの治療は、多くの場合内視鏡によって実施可能です。例えば、リンパ節への転移が見られず内視鏡で切除可能なケースや、サイズ6ミリ以上の良性ポリープ、サイズ5ミリ以下でも茎が見られずへこみがあるものや平坦なもの、がんとの区別が困難なケースなどでは内視鏡による治療が選択されます。
また、進行度やポリープの大きさによっては手術を選択する場合もあり、どちらの場合も患者様としっかりお話しして決定します。
大腸がん
大腸がんの発症率は50歳を超えると高くなることが知られています。また、女性よりも男性の方が大腸がんを発症しやすく、死亡率が高いことも判明しています。
大腸がんは進行が遅い特徴をもつため、早い段階で適切な治療が受けられれば根治も可能な疾患です。一方、発見が遅れた場合、根治が困難になりがちです。大腸がんは初期には症状がないケースが多いため、定期的に大腸がん検診を受けることをおすすめします。
こんなお悩みはありませんか?
- 便の調子がおかしい
- よく下痢・便秘になる
- 便潜血検査が陽性だった
- 腹部に張りがある
大腸がんの原因
大腸がんは食生活や運動不足、喫煙や飲酒、肥満などに関与して起こるとされており、食生活の欧米化も要因とされます。例えばソーセージやハムなどの加工肉や動物性脂肪を多くとること、食物繊維が不足しがちな食生活は大腸がんのリスクを高めます。
また、大腸がんの9割程度が大腸ポリープを経由していることもわかっているため、定期的に大腸内視鏡検査を受けてポリープに注意を向けることをおすすめします。
大腸がんの治療法
大腸がん治療の選択肢としては、内視鏡による切除、手術、化学療法があげられます。
1期までの患者様に対しては、下部消化管内視鏡を用いて病変を切除することが多いです。2期から3期に進行した大腸がんに対しては手術による除去が中心となりますが、抗がん剤を用いた化学療法を選択する場合もあります。4期の治療は化学療法が中心ですが、いずれの場合も患者様としっかり相談したうえで治療方法を決定します。
食道がん
食道がんは食道の粘膜部にできるがんで、日本では9割以上が扁平上皮に発症します。また、比較的男性に多く、60~70歳での発症が多い疾患です。
症状としては胸やのどの違和感のほか、食べ物がつかえる感覚や胸がしみる感覚、吐しゃ物に血が混じることなどが見られます。状況が進行すると、胸や背中が痛むようになったり、気管や気管支にがんが広がって血痰が出たりすることもあります。さらに転移によって声のかすれや体重減少なども起こります。
こんなお悩みはありませんか?
- 食後、食道で食べ物が詰まっているような感じがする
- たまに胸が圧迫されているようにギュっと苦しくなる
- 喉に何かがくっついているような違和感がある
- みぞおちがたまに痛くなる
食道がんの原因
日本人の食道がんの大半を占める扁平上皮がんは、喫煙と飲酒が最大の原因としてあげられます。喫煙の習慣がある人は、喫煙しない人より約9倍も発症率が高く、禁煙した人の場合でも発症率は喫煙の習慣がない人の約4倍にのぼります。また、アルコール摂取時に顔が赤くなりがちな人も、そうでない人より発症率が高いと言われており、これはアセトアルデヒド代謝酵素に関係があるとされています。
食道がんの治療法
食道がんの治療は、内視鏡による切除、外科手術による切除、薬物療法、放射線治療に大別されます。治療の選択は病期や症状によって行いますが、患者様の意志やほかの疾患との都合、身体の状態などを考慮し、相談しながら決定します。
内視鏡はがんが広がっておらず転移がない場合に有効で、患者様の身体的負担も少なめです。外科手術は大規模になることもありますが、状態を踏まえて実施します。薬物療法と放射線治療は併用することが多い治療です。
胃がん
胃がんとは胃粘膜に発症するがんであり、進行状況によって早期胃がんと進行胃がんに分類されます。早期胃がんは浸潤が胃粘膜から粘膜下層までで収まっている場合を指しますが、進行胃がんはさらに深い位置にある固有筋層までおよびます。
胃がんは初期にはほとんど自覚症状がないので気づきにくいですし、ある程度進行しても無症状なこともあります。そのため、何らかの検査を受けた時に見つかることも多い疾患です。
こんなお悩みはありませんか?
- 胃が重い、ムカムカする
- 吐き気がする
- 貧血を起こすことがある
- 食欲が出ないことが多い
胃がんの原因
胃がんと言えばピロリ菌が原因であると思う人も多いかもしれません。しかし近年はピロリ菌の感染率は低下しており、それに伴ってピロリ菌に起因する胃がんの数も減少傾向にあります。とはいえ、中高年層にはピロリ菌感染者が多いため、ピロリ菌も依然として胃がんの要因ではあります。
その他の原因として代表的なのは、ストレスや喫煙、塩分が多い食事や飲酒、刺激物の摂取などです。また、野菜や果物が不足すると胃がんのリスクが上がることも知られています。
胃がんの治療法
胃がんの治療は化学療法と手術に大別されます。また、早期胃がんであれば、潰瘍の有無やがんの大きさ、悪性度などの要素を踏まえたうえで、内視鏡で切除する場合もあります。
しかし胃がんが進行してステージ3に至った場合、根治を目指して手術を選択するケースが増えます。手術にも開腹手術やロボット手術、腹腔鏡手術などの種類があります。
さらに、内視鏡や外科手術が選択できない場合、注射薬や内服薬による化学療法を採用します。
脂肪肝
肝臓に対して脂肪が大きく蓄積された状態を脂肪肝と呼びます。
そもそも肝臓はエネルギーとしての脂肪を作る器官ですが、エネルギー消費よりも脂肪を作る量が多い場合、肝臓に脂肪が蓄積されていきます。そのようにして全肝細胞の3割以上が脂肪化した場合を、脂肪肝と呼びます。
肝臓は異常があっても自覚症状を発しないため、気づかないうちに状態が悪化することもある臓器です。そのため脂肪肝と診断された場合、自覚症状がなくても早めに対処しましょう。
こんなお悩みはありませんか?
- 食べても食べてもお腹が空いている気がする
- よく下痢・便秘になる
- 間食をやめられない
- 腹部に張りがある
脂肪肝の原因
肝臓はアルコールを分解する機能をもつ臓器として知られていますが、胃や腸が分解した栄養を貯蔵する役割ももっています。
食事から得るエネルギー量が消費するエネルギーより多い場合、余ったエネルギーは体内で中性脂肪やグリコーゲンに変換されます。それらの中性脂肪やグリコーゲンは内臓脂肪や皮下脂肪として蓄積されていくため、余剰にエネルギー摂取を続けた場合、見える部分だけでなく肝臓にもどんどん脂肪がたまります。
脂肪肝の治療法
脂肪肝の治療においては、まず原因を明確にすることが重要です。アルコールの過剰摂取からくる脂肪肝であれば、飲酒量のコントロールや禁酒が有効ですが、カロリーの取り過ぎであれば食事の内容や量を見直す必要があります。
実は脂肪肝の多くは、好ましくない生活習慣を正すことによって改善可能です。前述の食事療法だけでなく、運動療法を取り入れることで筋肉を増やして脂肪の燃焼量を増やすことも脂肪肝の治療に欠かせません。
その他の消化器内科の疾患
吐き気
吐き気は、胃の不快感や反射的な吐き出し欲求を伴う症状で、消化不良、感染症、ストレス、薬物の影響などが原因となることがあります。多くの場合、体調不良や病気の前兆として現れますが、症状が長引く場合は医師の診断が必要です。
下痢
下痢は、便が水っぽく頻繁に出る状態で、感染症や食事、ストレスが原因です。通常は数日で回復しますが、長引く場合は医師の診察が必要です。
食道静脈瘤
食道静脈瘤は、食道の静脈が膨張し、破裂すると危険な出血を引き起こす状態です。肝硬変などが原因で発生し、吐血や黒い便が症状です。治療が遅れると命に関わるため、早期の対応が重要です。
腸閉塞(イレウス)
腸閉塞(イレウス)は、腸の通過障害により食物やガスが通りにくくなる状態です。腹痛・吐き気・膨満感・便秘などが症状で、原因には腸のねじれや癒着が含まれます。治療は手術が必要なこともあり、早期の対応が重要です。
肝腫瘍
肝腫瘍は、肝臓に発生した異常な細胞の塊で、良性と悪性(肝癌)があります。初期には無症状のことが多いですが、進行すると腹痛、体重減少、黄疸などが現れます。診断には画像検査が必要で、治療方法は腫瘍の種類や進行度によって異なります。
便秘
便秘は、排便が少ないまたは困難な状態で、腹部の膨満感や不快感を伴うことがあります。食生活や運動不足、ストレスが原因となり、長期的な便秘は腸の健康に影響を与えることがあります。食物繊維の摂取や適度な運動が予防に効果的です。
B型肝炎
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)による肝臓の感染症です。急性と慢性があり、慢性の場合は肝硬変や肝癌のリスクが高まります。感染経路は血液や体液を通じて広がり、予防にはワクチン接種が有効です。
C型肝炎
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)による肝臓の感染症で、主に血液を介して感染します。多くの場合、急性症状はなく、慢性化すると肝硬変や肝癌を引き起こすことがあります。治療には抗ウイルス薬があり、早期の診断と治療が重要です。
肝のう胞
肝のう胞は、肝臓に液体が溜まった袋状の構造物です。多くは無症状で偶然の検査で発見されますが、まれに大きくなると腹痛や不快感を引き起こすことがあります。通常、特別な治療は必要なく、経過観察が行われます。
胆のう炎(急性胆のう炎・慢性胆のう炎)
胆のう炎は、胆のうの炎症です。急性胆のう炎は、胆石などが原因で急激に発症し、腹痛・発熱・吐き気などの症状を伴います。慢性胆のう炎は、長期的に胆のうに炎症が続き、症状が軽度で繰り返すことがあります。治療には抗生物質や手術(胆のう摘出)が必要なことがあります。
膵のう胞
膵のう胞は、膵臓に液体が溜まった袋状の構造物です。良性の場合が多いですが、まれに膵癌に関連することもあります。多くは無症状で発見され、経過観察が行われますが、症状が現れたり、悪性の可能性がある場合は治療が必要です。
クローン病
クローン病は、消化管の任意の部分に炎症を引き起こす慢性の自己免疫疾患です。腹痛・下痢・体重減少・疲労感などの症状が現れ、症状が悪化すると合併症を引き起こすこともあります。治療には薬物療法や手術があり、症状のコントロールが重要です。
憩室炎
憩室炎は、消化管に形成された憩室と呼ばれる小さな袋状の突出部が炎症を起こす疾患です。憩室は、腸壁の弱い部分に便やガスが溜まり、時間が経つことで膨らんだものです。憩室が炎症を引き起こすと、憩室炎になります。
虚血性腸炎
虚血性腸炎は、腸の血流が不足することによって腸壁が損傷し、炎症を引き起こす疾患です。血液の供給が不十分になることで腸の一部が虚血状態になり、その結果として腸の組織が損傷し、炎症を伴うことがあります。
ノロウイルス
ノロウイルスは、非常に感染力が強いウイルスで、主に食物や水を通じて広がり、胃腸炎を引き起こす原因となります。特に冬季に流行することが多く、集団感染が発生しやすいのが特徴です。
ロタウイルス
ロタウイルスは、特に乳幼児に激しい下痢や嘔吐を引き起こし、経口感染により広がるウイルスで、予防接種により予防可能ですが、感染力が強く、主に冬季に流行します。
ポイツ・ジェガース
(Peutz-Jeghers)
(Peutz-Jeghers)
ポイツ・ジェガース症候群は、遺伝性の疾患で、特徴的な症状として、皮膚の色素沈着、消化管の良性腫瘍および胃腸や肺の病変が現れます。この症候群は、遺伝的な原因によって引き起こされ、特に多発性の消化管ポリープや異常な色素沈着が見られることが特徴です。
若年性ポリポーシス
若年性ポリポーシスは、遺伝性の疾患で、主に消化管、特に大腸に良性のポリープが多発する症候群です。
ポリープが増加することで、将来的に大腸がんのリスクが高くなるため、定期的な監視と早期の治療が重要です。
生活習慣病
糖尿病
糖尿病になると、インスリン(血液中のブドウ糖量をコントロールする役割をもつホルモン)の分泌量や機能が低下するため、血糖値が高い状態が続きます。それが持続されると次第に血管がダメージを受けていきますし、動脈硬化も起こります。
その結果、心臓や脳、腎臓などの重篤な疾患につながる可能性があるのに加え、失明や足の切断などのリスクもあります。また、糖尿病の合併症は多数ありますし、血糖値が著しく高い場合は昏睡状態になることもあり得ます。
こんなお悩みはありませんか?
- 喉が渇きやすくなった
- 全身の倦怠感を感じやすくなった
- 尿の匂いが気になる
- 手足の痺れやむくみがある
糖尿病の原因
糖尿病の原因として大きな要素は好ましくない生活習慣です。カロリーの高い食事や脂ものを好んで取っているとリスクが上がりますし、過度な飲酒や喫煙の習慣も糖尿病に繋がります。また運動不足やストレスが多い生活も糖尿病の進行を後押しします。脂質異常症や高血圧、肥満などを放置するのも糖尿病に結びつきます。
生活習慣以外では遺伝的要素も関連しますが、遺伝だけで糖尿病になるわけではないので、やはり生活習慣を正すことは重要です。
糖尿病の治療法
糖尿病を治療するには、まず食生活の習慣を見直す食事療法と、生活に適度な運動を組み込む運動療法に取り組む必要があります。それでも成果が出ない場合、薬物療法も取り入れますが、あくまでも食事療法と運動療法が基本です。
薬物療法においては、まず血糖値を下げる作用をもつ血糖降下薬を処方します。症状が悪化するとインスリンを自己注射する場合もありますが、まずは血糖降下剤による治療で重症化を抑えるよう取り組みます。
高血圧
そもそも「血圧」とは、心臓が送り出す血液が動脈の血管壁におよぼす圧力を示しています。
そのため、血圧が高い状態が続くと、血管壁がダメージを受けやすく、動脈硬化も進行して血管がもろくなります。その結果、脳梗塞や心筋梗塞、腎疾患などの重篤な病気を起こす危険性が増大します。ただし高血圧自体は自覚症状が少ないので、放置されがちです。このような特徴があることから、高血圧はサイレントキラーとも呼ばれます。
こんなお悩みはありませんか?
- お腹がでてきている
- 歳を重ねてもやせにくい
- 健康診断で高血圧を指摘された
- 疲れやすくなった
高血圧の原因
高血圧の原因は複数存在しており、いくつかが関連している例が多いです。遺伝的な要素もありますが、暴飲暴食や過度な飲酒、喫煙や運動不足、ストレスや加齢、肥満や血管の老化などが主な要因です。
高血圧症の中には、比較的若い年齢で発症するものや原発性アルドステロン症に起因するもの、腎炎からの腎性高血圧症のほか、薬剤に起因するものがあり、これらは二次性高血圧と呼ばれます。これらに関しては薬剤や手術などで血圧のコントロールが可能です。
高血圧の治療法
高血圧症の治療では、お薬の服用によって血圧を下げる方法も取りますが、まず毎日の血圧測定の開始と、高血圧の要因である生活習慣の見直しが第一です。そのため、患者様の生活習慣をお伺いして、改善案を提示します。
とはいえ、ご来院された時点で高度の高血圧と判断すればすぐに投薬を行うこともあるなど、改善の方法は患者様の状態や状況を踏まえます。また高血圧の治療は長く続きがちなので、その中で異なるご提案をすることもあります。
高脂血症
高脂血症とは、血液の中の中性脂肪やコレステロールの比率が高い状態が続く疾患です。高脂血症を発症しても、発熱や痛みなどの自覚症状はほとんどありません。そのため放置されることが多いのがこの疾患の大きな特徴です。
高脂血症を放置したまま生活を続けていると、過剰な脂質が血管にたまって血流が悪くなりますし、動脈硬化も進みます。その結果、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な疾患に至ることもあります。これを踏まえて、血液検査などで状態の把握に努めましょう。
こんなお悩みはありませんか?
- 野菜を食べるのが嫌いだ
- 尿酸値が高めである
- 健診でコレステロール値や中性脂肪値の異常を指摘された
- 肥満気味である
高脂血症の原因
高脂血症の主要因は、カロリーや脂肪分が多い食事と運動量の不足です。高脂血症の8割程度が生活習慣病であるとも言われているため、高脂血症の治療でまず取り組むべきなのは食生活の見直しと適度な運動です。
近年の日本人の食生活はカロリーやコレステロールの摂取量が多く、エネルギー過多の常態化も見られます。さらに、運動不足も悪影響をおよぼしており、これらの生活習慣は糖尿病や高血圧にもつながるので早期の見直しを推奨します。
高脂血症の治療法
高脂血症の治療は早期に行うことが重要なので、健康診断などで指摘された場合は早めに当院にご相談ください。
実際の治療では、中性脂肪やコレステロール値の目標を定めて食事療法と運動療法を行います。それでも状態が改善しない場合、薬物療法も実施します。
高脂血症の治療薬は開発が進んでおり、効果が期待できる薬剤が増えています。また家族性高コレステロール血症や心疾患が見られる場合は合併症が懸念されるため、月に1~2回の注射薬による治療も検討します。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる病気で、空気の通り道(上気道)が狭くなることが原因です。これにより、十分な睡眠が取れず、日中の眠気や集中力低下、高血圧、心疾患などのリスクが高まります。治療にはCPAP(持続陽圧呼吸療法)などが使用されます。
こんなお悩みはありませんか?
- 睡眠時に呼吸が止まっていると指摘された
- しっかり寝ているはずなのに常に眠たい
- 睡眠時、何度も起きてしまう
- 起床時、頭痛がすることが多い
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群の原因は、気道が閉塞することによる呼吸の一時的な停止で、肥満、喉の筋肉の弛緩、構造的な異常)、加齢などが影響することが多いです。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
睡眠時無呼吸症候群の治療法には、CPAP(持続的陽圧呼吸療法)による気道の確保や、肥満改善のための減量、口腔内装置の使用、手術による気道の拡張などがあり、患者の症状や原因に応じた適切な治療が選択されます。
高尿酸血症
高尿酸血症は、血液中の尿酸値が正常範囲を超えて高くなる状態で、痛風や腎臓病のリスクが増す可能性があります。主な原因は、尿酸の生成過剰や排泄不足です。
こんなお悩みはありませんか?
- 足の親指のつけ根に激痛が走る
- 足の甲がぱんぱんに腫れあがった
- くるぶしに痛みがある
- 足の甲に痛みがある
高尿酸血症の原因
高尿酸血症の主な原因は、尿酸の過剰生成や腎臓での排泄不足であり、肥満や食事、アルコール、遺伝的要因などが関与することがあります。
高尿酸血症の治療法
高尿酸血症の治療法には、尿酸値を下げる薬物療法(例えば、アロプリノールやフェブキソスタット)、生活習慣の改善(食事制限や減量)、および適度な運動が含まれます。
その他症状
血便・下血
血便・下血は便に血が混じる症状で、消化器系の異常を示すことがあります。
原因としては、痔や腸の炎症、潰瘍、腫瘍などが考えられます。早期の医師の診断が重要です。
腹痛
腹痛は、腹部に感じる痛みで、消化器系や他の内臓の異常が原因となることがあります。食事・ストレス・感染症・消化不良・炎症性疾患などが主な原因です。
痛みの種類や場所によって、原因を特定するためには医師の診断が必要です。
胃もたれ
胃もたれは、食後に感じる胸や腹部の重苦しい感覚で、消化不良や胃酸過多が原因で起こります。
食べ過ぎや脂っこい食事、ストレスなども影響します。繰り返す場合は、胃炎や胃潰瘍などの可能性もあるため、適切な対処が必要です。
ゲップ
ゲップは、胃に溜まった空気やガスが口から排出される現象です。食事中に空気を飲み込んだり、炭酸飲料を摂取したりすると発生します。通常は自然な反応ですが、頻繁なゲップや胸焼けを伴う場合は、胃腸の不調や逆流性食道炎の兆候かもしれません。
おなら
おならは、腸内で発生したガスが肛門から排出される現象です。食事中に空気を飲み込んだり、腸内での消化過程でガスが発生したりすることが原因です。一般的には自然な体の反応ですが、頻繁におならが出る場合や臭いが強い場合は、食生活や腸内環境の改善が必要かもしれません。
便潜血検査陽性
便潜血検査が陽性という結果は、便に血液が含まれていることを示しています。これは消化管のどこかで出血が起きている可能性があるため、消化器系の疾患が疑われます。陽性結果が出た場合、さらに詳細な検査が必要です。
胃がん検診の異常
胃がん検診で異常が見つかった場合、胃に腫瘍や異常な病変がある可能性があります。検査結果により、早期のがんや前がん状態が示唆されることがあります。異常が見つかった場合は、追加の精密検査(内視鏡検査など)を受け、早期発見と早期治療が重要です。