ピロリ菌検査

H pylori

ピロリ菌と関係する
病気について

ピロリ菌の感染が胃に住み着き、持続感染した状態を慢性胃炎と言います。慢性胃炎が長く続くと胃の粘膜は薄くなる萎縮性胃炎へ進行します。
これらの胃炎をヘリコバクター・ピロリ感染胃炎と呼び、ピロリ菌に感染した患者様の胃の中で長い期間炎症が続くと、胃がんの発生率が高くなることが分かっています。
また、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発症や再発はこのピロリ菌感染に関係していることもわかっており、その他にも下記の色々な病気ともピロリ菌は関係しています。

ピロリ菌との関連が指摘されている疾患

  • 慢性胃炎・萎縮性胃炎
  • 胃がん
  • 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
  • MALTリンパ腫
  • 胃過形成性ポリープ

ピロリ菌の検査方法

内視鏡検査でピロリ菌検査

慢性胃炎や潰瘍等の病気がある場合など、ピロリ菌に感染が疑われる場合に胃粘膜や胃液を採取して検査を行います。迅速ウレアーゼ検査や、組織鏡検法、培養、スマートジーンなどの方法があります。

その他の検査でピロリ菌検査

血液でのピロリ抗体測定、尿での尿素呼気試験、便中抗原検査などを行います。

ピロリ菌の検査について

内視鏡を使う方法

迅速ウレアーゼ試験

胃の組織の一部を採取して、特殊反応試薬を用いてウレアーゼ反応の有無を確認してピロリ菌の有無を判定します。
ピロリ菌が持つウレアーゼ酵素の働きを利用し、試薬の色の変化を観察した判定法のため、30分前後で結果が分かります。

組織鏡検査

顕微鏡で直接ピロリ菌の有無を観察する方法です。胃粘膜を採取し、ホルマリン固定した後に染色を行い、顕微鏡を用いてピロリ菌の有無を診断します。
ピロリ菌が確認できない場合でも、ピロリ菌の感染を完全には否定できません。

培養法

胃カメラで採取した胃粘膜を、ピロリ菌が発育しやすい環境で培養して、ピロリ菌の有無を調べる検査です。
昔からある正確な方法ですが、やや時間がかかることが欠点です。

スマートジーン H.pylori

胃液を採取し、胃液中のピロリ菌のDNAを抽出し、ピロリ菌の有無を調べる新しい検査方法です。
感染診断とともに、抗菌薬への感受性の判定が可能です。

内視鏡を使わない方法

尿素呼気試験

胃の中に住み着いているピロリ菌が、尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する働きを利用した検査です。
精度の高い検査法で、負担も少なく、現感染の判定や除菌治療の成否を判定に用いることが多い検査です。

抗体測定検査

現在または過去のピロリ菌感染を血液や尿中の抗体を用いて調べる方法です。ピロリ菌に身体が感染すると、その菌に対する抗体が体内に作られます。血液や尿に存在するこの抗体の量を測定して、ピロリ菌の感染の有無を診断します。

糞便中抗原検査

便の中のピロリ菌の成分(抗原)を調べる方法です。除菌判定に用いる場合があります。

※ピロリ菌の検査方法は一つだけでは偽陰性の場合もあり、疑わしい時は複数の検査法を行って診断します。

ピロリ菌の除菌方法

2013年代に「ヘリコバクター・ピロリ菌感染胃炎」が保険適用となり、現在ではピロリ菌感染があり、胃カメラで慢性胃炎や潰瘍と診断された方に対して、保険を用いた除菌治療が可能となりました。
ピロリ菌の除菌には、胃酸を抑える制酸薬と2種類の抗生物質を、朝と夕に内服し、一週間飲み続けていただきます。
飲み終わって1~2ヵ月後に除菌が成功したかどうかの除菌判定を行います。除菌効果判定は、尿素呼気試験や便中抗原検査を用いて行います。1回目の除菌治療で約8割の方が除菌に成功します。1回目の除菌が失敗した場合は、2次治療として、もう一度除菌を目指します。
除菌による胃がんの抑制効果は慢性胃炎が軽い人ほど効果があるとされており、除菌に成功した場合には胃がんのリスクは約3分の1になると言われています。胃がん予防のためにも、萎縮が進行する前に早期の段階での除菌を目指しましょう。

除菌の費用はどれくらい?

検査・除菌の費用は保険が適用されます。
胃カメラでピロリ菌の判定をしてもらう場合では12,000円位かかります。
【検査料】約5,000円~12,000円 【診察料】約1,000円 【薬剤料】約6,000円

スクロールできます

メニュー 保険1割負担 保険3割負担
診察料+
検査料
約1,500円 約4,500円
除菌後
再検査料
約1,500円 約3,500円
病理検査 約1,300円 約4,000円