後戻りできない生活習慣病
原因と治療を知って、
将来の健康に備えましょう
生活習慣病は痛みなどの自覚症状がないまま進行するため、気がついた時には後戻りできないケースもあり、
日頃の健康診断や定期受診が非常に大切です。
当院の生活習慣病外来では、生活習慣病に対する検査や治療、食事など日頃の生活習慣に関する相談を随時承っております。
気になる方はいつでもご相談ください。
注意すべき生活習慣
- 食生活の乱れ
- 脂肪の摂りすぎ
- タバコを吸う
- 休養がとれない
- 毎日の飲酒
- 塩分の摂りすぎ
- 運動不足
- 過剰な飲酒
- 睡眠不足
- 日中あくびが多く、眠たい
当院では生活習慣病の
予防・重症化させない
取り組みを行ってます
当院の「生活習慣病外来」では、採血検査、レントゲン検査、超音波検査、内視鏡検査などを実施して、的確に現状を診断し、
個々の状況に応じて生活指導や治療を行うことで、病気の改善や将来の深刻な疾病への進行予防を目指します。
糖尿病

糖尿病とは、血糖値を下げるインスリンの働きが不十分になって起こる疾患です。
糖尿病には1型と2型があり、1型は状態異常によってインスリンが作られなくなって発症しますが、2型は生活習慣病に起因して発症します。健康な状態であれば食事によって血糖値が上がっても、インスリンが血中のブドウ糖濃度を下げてくれますが、糖尿病になると血糖値が高い状態が維持されることで血管が損傷し、脳や腎臓、目などに悪影響がおよびます。
1型糖尿病
1型糖尿病の要因はまだ完全に解明されていませんが、全体の9割程度が自己免疫の異常によって起こる一方、残りの1割程度は原因がわからず突発的に発症するとされています。
免疫とは、本来細菌やウイルスなどの異物から身体を守るものですが、自己免疫異常が起こると本来攻撃すべきではない健康な細胞を攻撃することがあります。
1型糖尿病を発症すると、インスリンの分泌量が大きく低下するため、血中のブドウ糖濃度を下げることが難しくなり、血糖値が高い状態が続きます。症状としては口の渇きや多飲多尿のほか、エネルギーを体内にとどめる機能が低下することによる体重減少などが起こります。重症化すると意識を失うこともあるので注意が必要です。
- 1型糖尿病の治療
- 1型糖尿病になると、インスリンの生成・分泌量が減って血糖値がコントロールしにくくなるので、注射器でインスリンを体内に補充する治療を継続します。これによって血糖値が制御できるので、インスリン注射を続けていれば通常の暮らしができます。
上記以外の治療としては、膵島移植や膵臓移植、人工膵島などの方法があり、近年発達を続けています。また、人工的に作成した膵β細胞を皮下移植する治療や遺伝子治療なども登場するなど、選択肢が増えています。
2型糖尿病
2型糖尿病の主な原因は生活習慣の乱れです。
一般的に「糖尿病」の多くは2型糖尿病の発症です。発症には生活習慣が関係していることから、糖尿病の治療には食事療法や運動療法が特に重要です。
- 食事療法
- 摂取するカロリーをコントロールするために、日々の飲食に対してアドバイスを行います。基本的に食べられないものはなく、患者様ができるだけ毎日の食事を楽しめるように、状態を踏まえて提案します。
- 運動療法
- 患者様にとって無理のない運動を日々の生活に取り入れることで、糖の消費や吸収を促します。
運動によって筋肉量が増えれば脂肪の燃焼効率も上がり、インスリンの働きが好転する成果も得やすくなります。 - 薬物療法
(内服・GLP-1・インスリン注射) - 食事療法と運動療法で状態の改善が見られない場合、内服薬、GLP-1受容体作動薬の注射、インスリン療法などの薬物療法を併用します。
インスリン療法には自己注射だけでなく、人目が気になりにくいポンプ療法もあります。
高血圧症

血管にかかる圧力が高い状態が続くと、動脈硬化(血管が硬くなり、もろくなる状態)で血管の詰まりや破れのリスクが上がります。脳や心臓の血管でトラブルが起きると生命に関わることもあるので、高血圧を放置するのは望ましくありません。
高血圧は原因不明な場合も多いですが、肥満や喫煙・塩分の取りすぎや運動不足などの影響もあります。
血圧測定はストレスや緊張でも変化するため、病院での検査だけでなく家庭での血圧測定値もあわせて診断します。
高血圧の原因
高血圧の9割以上は本態性高血圧です。本態性高血圧は、肥満や喫煙・過剰な塩分摂取や飲酒・運動不足やストレス・加齢や食生活の乱れなどが関連するとされているので、日々の生活習慣に目を向けることも重要です。
本態性高血圧に該当しない1割程度は二次性高血圧に分類されます。二次性高血圧の原因は、褐色細胞腫や原発性アルドステロン症などの内分泌疾患、腎血管性や睡眠時無呼吸症候群のほか、漢方薬やステロイド薬に起因する場合があります。
高血圧の治療
高血圧の約9割を占める本態性高血圧の場合、食事療法や運動療法のほか必要に応じて薬物治療を併用します。
二次性高血圧の場合、原因となる疾患があるのでその治療を実施します。
高血圧が続くと心臓や脳・腎臓や血管に疾患を生じる場合もあるので、その予防や治療・再発抑制や予後の状態悪化防止なども行います。
脂質異常症

血中の脂肪分が基準値外になる状態を、脂質異常症と呼びます。血中の脂肪分が低い場合も問題ではありますが、脂肪分が過多な場合は血管壁に脂肪分が付着し続けて血管が閉塞し、血流の悪化や血管の詰まりが起こりやすくなります。
脂質異常症を診断する際にはコレステロールの値が重要ですが、超悪玉コレステロール値が高いケースは注意を要します。
脂質異常症の治療においては生活習慣の改善と薬物療法を行います。
原因のほとんどは生活習慣の乱れ
脂質異常症は、遺伝的要因や更年期、薬剤の副作用などに起因する場合もありますが、多くの場合は肥満や運動不足・喫煙や飲酒・食生活の乱れなどの生活習慣に原因が見られます。そのため、治療においても生活習慣の改善が欠かせません。
脂質異常症の診断に際してはまず採血を行い、トリグリセリド(中性脂肪)・善玉コレステロール(HDLコレステロール)・悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の値に着目します。
脂質異常症(高脂血症)治療
脂質異常症は生活習慣の乱れに起因することが多いので、脂質の目標値を設定して食事療法や運動療法などを行います。
とはいえ肥満や喫煙・飲酒や運動不足などは即日に解消できるものではないので、患者様の状態やお気持ちに寄り添いながら、無理のない提案を続けます。
食事療法や運動療法で不十分な場合、薬物療法も併用しますが、生活習慣の改善は糖尿病や高血圧の予防や治療にも有効なので、ぜひ前向きに取り組みましょう。
高尿酸血症

食べ過ぎや食生活の欧米化、運動不足などが原因で、高尿酸血症や痛風を発症する人が増えています。実際、日本の成人男性の約20%が高尿酸血症にかかっていることがわかっています。
私たちの体を構成する細胞の核の中には、プリン体と呼ばれる物質が含まれています。
高尿酸血症の治療
高尿酸血症は、食べ過ぎや肥満など生活習慣の乱れによって引き起こされることがほとんどなので食事療法や運動療法で改善します。しかし、生活習慣を改善しても尿酸値が6.0mg/dl以下に下がらない場合には薬物療法も検討します。
睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる病気です。
日本では約300万人が患っているとされますが、その多くは適切な治療を受けていないのが現状です。この病気は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病と深く関係しており、放置すると心筋梗塞や脳卒中などの循環器系の疾患を引き起こすリスクがあることが明らかになっています。
睡眠時無呼吸症候群の原因と症状
睡眠時無呼吸症候群の主な原因は肥満ですが、これに加えて顎が小さいことや扁桃(へんとう)の肥大なども影響します。その結果、睡眠中に喉の空気の通り道(上気道)が狭くなり、最終的には塞がってしまいます。このとき、いびきが必ず伴うことが特徴です。また、良質な睡眠が得られないため、目覚めが悪く、日中に強い眠気や倦怠感を感じることが多く、集中力も低下します。
睡眠時無呼吸症候群の治療
重症度の高い方には、睡眠中の気道の閉塞を防ぐ治療法(CPAP)を行います。これは、就寝時に鼻に装着したマスクに圧を加えた空気を送り込むもので、安全で長期効果も優れています。耳鼻咽喉科の手術が適している方もいます。軽症の方はマウスピースで治療します。
脂肪肝

脂肪肝とは、食べ過ぎや運動不足が原因で、肝細胞内に中性脂肪を中心とした脂質や糖質が異常に蓄積した状態を指します。肝臓疾患を引き起こす原因となる脂質が肝臓に蓄積し、総重量が5%を超える場合、または肝細胞の30%以上に脂肪が蓄積している場合に、脂肪肝と診断されます。
脂肪肝の治療
脂肪肝の治療としては主に生活習慣の改善、食事療法や運動療法・薬物療法になります。
定期的に肝機能の数値を検査し現在の状態を把握していくことが大切です。