東広島の内科医ブログ。「FODMAP」って何?お腹に優しい食事とは。
「内視鏡検査は異常なし。でもお腹の不調が続く」そんな方へ。
「内視鏡検査を受けで異常がないと言われたが、なぜかよくお腹が張る」
「ガス(おなら)が増えて、人前が気になる」
「便秘や下痢を繰り返して、外出が不安……」
こうした症状はよく、過敏性腸症候群(IBS)とよわれる状態でよくみられます。
今回は消化器内科専門医、特に「大腸の専門医」として、「お腹の平和」をテーマに取り上げ、昨今注目されている食事療法「低FODMAP(フォドマップ)食」、について解説します。
単なるダイエットでなく、科学的な根拠に基づいた「腸の整え方」を一緒に見ていきましょう。
1. そもそも「FODMAP」ってなに?
FODMAPとは、小腸で吸収されにくい糖質の総称で、特に下記の4種類の短鎖炭水化物の頭文字を合わせた言葉です。
- Fermentable(発酵性):腸内細菌のエサになりやすい
- Oligosaccharides(オリゴ糖):小麦、玉ねぎ、豆類など
- Disaccharides(二糖類):乳糖(牛乳、ヨーグルトなど)
- Monosaccharides(単糖類):果糖(はちみつ、リンゴなど
- Polyols(ポリオール):人工甘味料、キシリトール、キノコ類など
これらは小腸で吸収されにくいため、大腸で過剰に発酵してガスを発生させたり、浸透圧作用で腸内の水分を増やしたりします。その結果、腹痛、ガス過多、膨満感、下痢といったお腹のトラブルを引き起こされます。
2. 「高FODMAP」「低FODMAP」の具体例
私たちが「体に良い」と思って食べている食材が、実は高FODMAPであることも少なくありません。
下記にお腹に優しい食事(低FODMAP食)とお腹に負担のかかりやすい食事(高FODMAP食)についての具体例を示します。
| カテゴリ | 高FODMAP(控えめにしたい) | 低FODMAP(積極的に選ぼう) |
| 主食 | 小麦(パン・ラーメン、パスタ)、ライ麦 | 米、玄米、そば(十割)、グルテンフリー麺 |
| 野菜 | 玉ねぎ、にんにく、ゴボウ、アスパラガス、 | キャベツ、レタス、トマト、ブロッコリー、ナス、にんじん |
| 果物 | リンゴ、桃、梨、ドライフルーツ、 | バナナ、イチゴ、キウイ、オレンジ |
| 乳製品 | 牛乳、ヨーグルト、アイス | 豆乳(調整豆乳はNGの場合あり)、硬いチーズ |
| 豆・ナッツ | 大豆、小豆、カシューナッツ | アーモンド(少量)、くるみ、豆腐(木綿) |
日本人に多い「見落としがちな高FODMAP食」
- カレー・シチュー(玉ねぎ+小麦粉ルウ)*一皿で高FODMAP食が重なる〝ダブル構造〟
- ラーメン、うどん、パスタ(小麦麺、にんにく) *外食の定番。スープまで飲むとNG
- 菓子パン・サンドイッチ¥:^「(小麦、砂糖・果糖、乳製品) *朝食で無意識に摂取しやすい
- サラダ+ドレッシング *朝食の定番
- はちみつ入りヨーグルト(乳糖+果糖) *腸内で発酵しやすく、ガス増加
- 納豆・豆料理(オリゴ糖) *健康食品の落とし穴
- 食後のフルーツ(リンゴ・梨・桃) *体にいいの「食べ過ぎ」は症状悪化の典型
「健康に良いと思っていた食品」が、実はお腹の不調の原因のことも多いです。
そしてこれらには下記の共通点があります。
・いずれも健康に良いと思われている食品
・日本人の食卓で頻出の食事
・複数の高FODMAPが重なっている
つまり、腸によかれと思って続けている食習慣が、逆に仇となっている可能性があります。
3. 実践のステップ:まずは「3週間」から
低FODMAP食は、一生にわたってすべての高FODMAP食品を避けるものではありません。 食事日記をつけて、自分の腸に合わない「犯人」を特定するプロセスとして活用してみてください。
- 導入期(3週間): すべての高FODMAP食品を避け、低FODMAP食品のみで過ごします。
- 再導入期: 1種類ずつ高FODMAP食品を食べてみて、どの食材で症状が出るかを確認します。
- 維持期: 自分に悪影響がある食材だけ避け、他は自由に食べる「自分専用の食事法」を確立。
まとめ:自分の体との対話を大切に
低FODMAP食のポイントは、「健康に良いとされる食品が、必ずしも自分の腸に合うとは限らない」と知ることにあります。
まずは1食、主食をパンからご飯に変えてみる。サラダのドレッシングをシンプルなオイルや塩にかえてみる。そんな小さな一歩から、食事の見直しを始めてみませんか?
高FODMAP食は、特別な食品ではなく、日常に溶け込んでいることが最大の落とし穴です。
お腹の不調(下痢・便秘・膨満感)から「お腹の平和」を目指して、毎日の食事を見直すことから始めてみましょう。
※注意: 極端な食事制限は栄養偏りを招くため、消化器内科専門医の指導のもとで行うのが理想的です。