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健康診断で「便潜血陽性」と言われたら。【内視鏡専門医が解説】

【警告】便潜血陽性を放置してはいけない理由|「1回だけ陽性」なら大丈夫?

健康診断の封筒を開けて、目に飛び込んできた「便潜血陽性」の文字。 「昨日排便時に、お尻が切れただけかも」「2日のうち1日だけ陽性だし……」「来年様子をみよう」と、自分を納得させていませんか?

実は、その「たった1回の陽性」を放置することが、一生の後悔につながるかもしれません。

今回は消化器内科医の診察室で毎日繰り広げられる「便潜血の真実」について、ズバリお話しします。

1. 「もう一度、便の検査を」がNGな理由

診察室では多くの患者さんが「2回のうち1回だけ陽性だったので様子をみてもいいか」「もう一度便を提出して、それでも陽性だったら検査をしたい」とおっしゃいます。しかし、これは医学的にやってはいけないことです。

大腸がんやポリープは、必ずしも毎日出血しているわけではありません。

  • 1回目:便が、がんの表面をこすり、微量の出血が便に付いた(陽性
  • 2回目:便が、がんの表面をこすらず、たまたま出血しなかった(陰性

※文献:厚生労働省「大腸がん検診マニュアル」

「1回だけ陽性」でも、大腸カメラは必要?

便潜血検査の2回目が陰性だったからといって、「病気が消えた」わけではなく、単に「見逃した」可能性を考えなくてはなりません。1日法(1回)ではなく、2日法(2回検査)を行うことで、早期がんを含めた大腸がんの発見率は約10~15%向上すると言われており、「たまたま出血した瞬間」を逃さないためにも、2日法が世界標準となっています。 

「2回のうち1回しか陽性じゃなかったから、たまたまだろう」と考えるのは非常に危険であり、「1回でも陽性反応が出た=大腸のどこかに病変が隠れているサインかもしれない」と捉え、必ず大腸内視鏡検査を受けることが推奨されます。便潜血検査の「再検査」は、「便の再提出」ではなく「大腸カメラ」での精密検査の一択なのです。

2. 陽性者の「10人に1人は……?

統計的に、便潜血が陽性だった方の精密検査結果は以下のようになります。

  • 約1~3%:大腸がんが見つかる
  • 約30~40%:大腸ポリープ(がんの芽)が見つかる

つまり、10人に1人は「がん」か「がんの手前のポリープ」が見つかる計算です。 逆に言えば、このタイミングで検査をすれば、「がんになる前に芽を摘む」ことができる最大のチャンスなのです。

3. 「大腸カメラ=痛い」は本当?

「カメラが怖いから受診したくない」というお気持ちはよくわかります。しかし、術者の技術や、鎮静剤の使用、施設環境よって、検査のしんどさは驚くほど変わります。

  • 「眠ったまま」の検査 : 鎮静剤を使用し、ウトウトしている間に終わります。「気づいたら終わっていた」という方がほとんどです。
  • お腹の張りを軽減:炭酸ガスの使用や送気を必要最低限に抑えることで、検査後の膨満感を素早く解消します。
  • 日帰り治療:日帰り可能なポリープであれば、その場で即日ポリープを切除することも可能です。

当院は消化器内科を専門とする内視鏡専門医として、苦痛の少ない高度な検査を提供しています。 もし検査中に「将来がん化する恐れのあるポリープ」が見つかった場合、その場で切除する「日帰りポリープ切除」が可能です。後日改めて手術を受ける必要がなく、患者さんの身体的・経済的負担を最小限に抑えます。

4. もし、放置したらどうなる

大腸がんは、早期に発見できれば生存率は95%以上と非常に高い病気です。

しかし、自覚症状(血便、腹痛、便が細くなる)が出てから見つかった場合は、進行している可能性が高く、手術や抗がん剤治療が必要になるケースも増えます。 「あの時、カメラをやっておけばよかった」と後悔する患者さんを一人でも減らしたい、それが私たちの願いです。

(注意)

これまで大腸がん検診(便潜血検査)は2日間の採便(2回分提出)が主流でしたが、厚労省の指針により、今後は検診の受診率向上を目的として1日分(1回)に簡素化される方針です。しかし、現状では2日法が主流で、1回でも陽性が出れば、必ず大腸カメラ(精密検査)を受ける必要があります。検査自体が「1回」に減ることで手軽になる一方で、陽性時の精密検査の重要性は変わりません。

大腸がん検診の便潜血検査ですが、簡便さや医療機関への受診率向上を目的として、2027年度から従来の「2日法(2日分採取)」から「1日法(1日分採取)」に変更される方針となっています。

まとめ:その封筒は「未来のあなた」からのメッセージ

便潜血陽性は、決して「絶望」のサインではありません。 むしろ、「手遅れになる前に、今なら治せるよ」という、体からのラッキーな通知です。

  • 痔があるからと決めつけない
  • ネットの「大丈夫」を信じない
  • まずは消化器内科、内視鏡専門医の予約を入れる

この3歩が、あなたのこれからの10年、20年を大きく変えます。 当院では、初めての方でも安心して検査を受けられるよう、万全の体制でお待ちしております。

【大腸カメラ・精密検査の予約はこちら】 https://appt.doctorsfile.jp/patient/82901/top/

執筆者情報

院長

佐々木 政敏

経歴

昭和60年
島根医科大学病院
昭和62年
広島大学病院
平成元年
西広島医療センター
平成3年
前田医院院長
平成26年
東広島地区医師会 理事就任
平成27年
東広島内科会 会長就任

所属学会・資格

  • 日本内科学会(内科認定医)
  • 日本臨床内科会(臨床内科専門医)
  • 日本消化管学会(胃腸科認定医)
  • 日本東洋医学会(漢方専門医)
  • 日本医師会(認定産業医)
  • 日本消化器病学会(消化器病専門医)
  • 難病指定医

副院長

佐々木 悠貴

経歴

平成28年
倉敷中央病院
平成31年
倉敷中央病院リバーサイド
令和1年7月
日本鋼管福山病院
令和1年10月
岡山市立市民病院
令和2年4月
倉敷中央病院
令和3年4月
広島市立広島市民病院
令和5年4月
岡山大学病院
令和6年4月
広島市立広島市民病院

所属学会・資格

  • 日本内科学会(内科専門医)
  • 日本消化器病学会(消化器病専門医)
  • 日本消化器内視鏡学会(内視鏡専門医)
  • 日本消化管学会(胃腸科専門医)
  • 日本肝臓学会(肝臓専門医)
  • 日本炎症性腸疾患学会(IBD専門医)
  • 難病指定医