2025.05.11 その他

内科外来：帯状疱疹ワクチン接種開始のお知らせ

東広島市、帯状疱疹ワクチン接種について

`帯状疱疹について`

帯状疱疹は、多くの人が子供の頃に感染する「水ぼうそう」のウイルスが原因で発症します。

「水ぼうそう」が治った後も、日本人の90％以上はこのウイルスが体内に潜伏しており、ストレスや過労など体の免役が低下すると、ウイルスが暴れだして、帯状疱疹を発症します。

帯状疱疹にかかると、体の片側の一部（多くは上半身、顔面や目、頭）に発疹が出現し、ピリピリとした痛みを自覚します。痛みは次第に強くなり、夜も眠れないほど強い痛みを自覚する場合もあります。

50歳台から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています。

また、発症すると皮膚だけでなく、神経にも炎症を起こし、ジンジンとした神経痛が出現する場合があります。更に皮膚の症状が治った後も、痛みが持続することがあり、3か月以上痛みが続くものは、帯状疱疹後神経痛と呼ばれ、刺すような痛みや焼けるような痛みが、長期に残ってしまう可能性があります。50歳以上で発症した方でリスクが高く、約2割が、3か月以上痛みが持続するといわれています。

特に、帯状疱疹が「頭」や「顔面」に出た場合には注意が必要で、目や耳の神経が障害されると、視力低下や耳鳴り、めまいなどの合併症がみられる場合があります。重症化すると失明や顔面神経麻痺などの重たい後遺症が残ってしまう可能性があるため注意が必要です。

治療は抗ウイルス治療と、神経痛に対する薬剤などを開始します。発症早期に治療するほど、治療効果が期待できますので、症状を自覚したら早めに受診しましょう。

帯状疱疹の予防・ワクチンについて

帯状疱疹の発症には、免疫低下が関与しています。加齢や疲労、ストレスの他、がんなどの免役が低下する基礎疾患が隠れている場合があり注意が必要です。帯状疱疹を発症しないためには、日頃から食事バランスに気を付ける、睡眠をとるなどの規則正しい生活習慣や体調管理を心掛け、免疫機能が低下しないようにしましょう。また高齢の方で帯状疱疹を発症した場合には、胃カメラや大腸カメラ（内視鏡検査）で「がん」などの悪性腫瘍のスクリーニングをお勧めします。

また50歳を過ぎた方は、帯状疱疹の予防接種ができますので、当院へご相談ください。

帯状疱疹ワクチンは、不活化ワクチンと生ワクチンの、大きく２つにわけられます。

具体的にはシングリックス（不活化ワクチン）とビケン（生ワクチン）の2種があり、予防効果や効果の持続期間が異なります。当院では予防効果や効果の持続期間からシングリックスをお勧めしています。

シングリックスについて

シングリックスは最近開発された不活化ワクチンで、50歳以上の方が対象です（持病や治療で免疫機能が低下し発症リスクの高い18歳以上の方も含まれます）。2回の接種（筋肉内注射）を行うことで帯状疱疹に対する予防効果がみられます（2ヵ月以上の間隔をあけて半年以内に2回接種が必要です）。予防効果は95%以上とされており、予防効果は10年間持続するとされています。炎症性腸疾患の方で、生物学的製剤/JAKなどの免疫抑制剤を使用中の方にも、安全に接種することが可能です。

多くの方は安全に接種頂くことができますが、接種部位に痛み（筋肉痛）や腫れがあらわれる場合があります。接種後に気になる症状があれば、医師にご相談ください。

ビケンワクチンについて

ビケンは、昔からある生ワクチンで、1回の接種を行います。発症予防効果は7割程度で、予防効果は5年間持続するとされています。生ワクチンのため、免疫抑制剤を使用中の方には接種できません。

日本人の90％以上は原因ウイルスが体内に潜伏しており、80歳までに3人に1人は帯状疱疹を発症すると言われています。また、帯状疱疹後神経痛を予防するためにも、帯状疱疹ワクチンは非常に大切です。また、間質性肺炎や潰瘍性大腸炎などで通院中の方で、免疫抑制剤を使用されている方も、帯状疱疹ワクチンの接種をお勧めします。

東広島市の帯状疱疹ワクチンの接種について

本年度から、東広島市在住で下記の対象者には、帯状疱疹ワクチンを公費負担で接種することが可能となりました。

年度内に65歳を迎える方、令和7年度から令和11年度までの期間に、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳を迎える方は、公費負担でワクチン接種を受けることが可能です。ワクチン接種でお悩みの方も、お気軽にご相談ください。

対象者には通知ハガキが届きます。マイナンバーカードや保険証と一緒に、持参ください。

＜公費負担でのワクチン接種＞

・ビケン（生ワクチン）：2, 600＊1回接種

・シングリックス（組み換えワクチン）：7, 000＊2回接種