【専門医が解説】突然の下腹部痛は「大腸憩室炎」? ごぼう茶で予防?
「突然、お腹の下腹部がズキズキ痛む」
「便秘気味で、熱も出てきた……」
そんな症状がある場合、それは「大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)」かもしれません。
近年、食生活の変化により20代から30代の若い世代からご高齢の方まで増えている病気です。
今回の記事では、消化器内科の専門医の視点から、大腸憩室炎の正体と、再発を防ぐための新しいアプローチとして注目されている「ごぼう茶」を活かした生活習慣について解説していきます。
大腸憩室(だいちょうけいしつ)とは?
大腸憩室とは、一言でいうと「腸の壁にできた小さなポケット」のことです。便秘などで腸の中の圧力が上がると、壁の弱い部分が外側にポコっと押し出されて袋状になります。 「ポケットがあるだけ(大腸憩室症)」であれば病気ではなく、痛みなどの症状も全くありません。 日本人の10〜20%にこの憩室があると言われており、健康診断のバリウム検査や大腸カメラ(大腸内視鏡検査)で偶然見つかることが多いものです。
なぜ「憩室炎」になってしまうのか?
そのポケット(憩室)の中に、便が詰まって細菌が繁殖し、炎症を起こしてしまった状態を「大腸憩室炎」と呼びます。
大腸憩室炎になりやすい人の特徴
- 食物繊維不足: 便が硬くなり、排便時にいきみことで腸の圧力が上がりやすくなります。
- 慢性的な便秘: 常に腸に便がたまることで、腸管への持続的な負担がかかります。
- 加齢・運動不足: 腸の動き(ぜん動運動)が弱くなり、憩室にっ便がたまりやすくなります。

【セルフチェック】放置厳禁!大腸憩室炎の代表的な症状と緊急サイン
大腸憩室炎の痛みには、一般的な胃腸炎や腹痛とは違う「特徴」があります。
- 場所が特定できる: 「右下または左下)」など、痛む場所がピンポイントではっきりしています。
- 持続的な痛み: 波がある痛み(痛くなったり、治まったり)ではなく、ずっとズキズキとした痛みが持続します。
- 発熱: お腹の炎症に伴って、37〜38℃台の熱が出ることがあります。
- お腹の張り: ガスや便が溜まったような苦しさがあります。
⚠️ 緊急SOSサイン: 歩くとお腹に響くような激痛や、お腹を触ると板のように硬い場合は、腸管穿孔=腸に穴が開いた状態 の危険があります。絶対に我慢せず、すぐに医療機関(救急外来)を受診してください。
病院で行う検査と治療
内視鏡検査というと、「痛い時に大腸カメラをするの?」と不安になる方が多いですが、安心してください。炎症が強い時期に大腸カメラを行うと、腸を傷つけり穴を空けたりするリスクがあるため、原則として行わない場合が多く、代わりに腹部超音波検査やCT検査で憩室炎の診断をします。
大腸憩室炎の検査方法
- 血液検査:白血球やCRPなどの数値をチェックし、炎症の強さを確認します。
- 腹部エコー・CT検査:痛む部分に直接機械を当てたり、撮像したりすることで、大腸カメラを使わずに、憩室の炎症の広がりや周への影響を確認します。
大腸憩室炎の治療法
大腸憩室炎の治療は、炎症の重症度によって「自宅安静」か「入院」に分かれます。
- 軽症の場合(通院治療):自宅で安静にしながら、抗生剤(抗菌薬)の服用と、腸を休ませるために一時的に消化によい食事や軽めの食事制限を行います。
- 中等症以上の場合(入院治療): 病院に入院して、絶食して腸を休めます。水分や栄養を点滴で補い、抗生剤を点滴で投与します。憩室の周囲に膿瘍ができていると入院が長期になります。
【注目】再発予防に有効?「ごぼう茶」の成分と腸活のメリット

一度憩室炎を経験すると、約3割の方が再発すると言われています。再発防止の鍵は「便秘の解消」と言われています。
そこで、最近医療の世界でもにわかに注目されているのが「ごぼう茶」の継続的な飲用です。
研究で示唆された「ごぼう茶」の可能性
近年の国内の研究において、ごぼう茶を日常的に飲み続けることで、大腸憩室炎の再発率を有意に下げたというデータが報告されています。
なぜ 、ごぼう茶 なのか?
- イヌリン(水溶性食物繊維): 水分を吸収して便を柔らかくし、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えます。
- 不溶性食物繊維: 腸の壁を適度に刺激して、スムーズな排便(蠕動)を促します。
- ポリフェノール: 抗酸化・抗炎症作用があり、腸の粘膜を健康に保ちます。
診療ガイドラインでの位置づけと注意点
現時点で大腸憩室炎の診療ガイドラインに、ごぼう茶が「必須の治療法」として掲載されているわけではありません。しかし、便秘を防ぐために「食物繊維の積極的な摂取」は強く推奨されており、その補助手段としてごぼう茶は、水分摂取と同時に食物繊維も摂取できるため、非常に理にかなった予防の補助手段と言えます。
※注意;お腹が痛い真っ最中(急性期)は、腸を刺激しすぎるため飲用を控えましょう。 治療がおわり、症状が落ち着いた後の「再発予防」として、生活に取り入れることをお勧めします。
まとめ:お腹に違和感があれば早めに消化器内科へ相談を
大腸憩室炎は、早期に適切な治療(抗菌薬や食事制限)を始めれば、多くの場合には数日から1週間で軽快する病気です。 しかし、放置して重症化すると、お腹の中に膿がたまったり(膿瘍形成、最悪の場合には外科的な手術が必要になることもあるため、決して油断できない病気です。
- 「いつもの腹痛と違う」「同じ場所がズキズキ痛む」と感じたら早めに消化器内科を受診しましょう。
- 普段から「食物繊維・十分な水分・ごぼう茶」で便秘を予防し、憩室炎の再燃を防ぎましょう。
こうした日頃のケアが、あなたの大切な腸を守る第一歩になります。
今回は皆さんに身近な憩室炎についてお話をしましたが、次回の記事では便秘や病気の予防として、今医学界で熱い視線が注がれている「腸活」や「腸内細菌」について、詳しく解説をしてみようと思います。
❖併せて読みたい記事❖
・【専門医が解説】 今日から始める「宿便」対策① https://www.maeda-cl.net/2026/04/06/1638/
❖お腹の相談なら前田医院まで❖ https://www.maeda-cl.net/colon/


