【専門医が解説】 今日から始める「宿便」対策① 便秘との向き合い方
「たかが便秘くらいで病院に行くなんて……」 そう思っていませんか?
実は、便秘は放置してはいけない立派な「病気」です。 市販の薬をとりあえず飲んでごまかしているうちに、腸の力がどんどん弱まってしまうこともあります。
今回は、意外と知らない便秘の定義から、新しい治療の選択肢、そして近年注目の「腸活」まで解説します。
どこからが便秘?医学的な「慢性便秘症」の定義と基準
「毎日出ていないから便秘だ」と思われている方が非常に多いのですが、実は医学的な定義は少し異なります。
現在の日本の医学界(慢性便秘症診療ガイドライン)では、便秘は以下のように定義されています。
「本来体外に排出ですべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」
つまり、回数だけでなく「スッキリ出ているか(満足感)」が重要なポイントになります。
「治療が必要な便秘」の目安
意外かもしれませんが、毎日排便がなくても、3日に1回スムーズに出て、本人がスッキリと快適であれば、医学的には必ずしも「治療が必要な便秘」とはみなされません。
逆に、毎日出ていたとしても、「コロコロして出すのが痛い」「ずっと残っている感じがして苦しい」という場合は、「便秘」と判断されます。

慢性便秘症のセルフチェック基準
以下の項目のうち、2つ以上当てはまる状態が数ヶ月続くと「慢性便秘症」と診断される可能性が高くなります。
- 強くいきむ(4回に1回以上の頻度)
- 便が硬い・コロコロしている(4回に1回以上)
- 残便感がある(出し切れていない感じが4回に1回以上)
- 肛門が詰まった感じがする(4回に1回以上)
- 手助けが必要(指で書き出したり、お腹を圧迫したりする)
- 排便回数が週に3回未満
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大腸の役割は、便を溜めることではなく、スムーズに送り出すことです。 便が長く腸にとどまると、水分が吸収されすぎてさらに硬くなり、悪玉菌が増殖して有害物質を出し始めます。これが前述の「ディスバイオーシス(腸内環境の乱れ)」を引き起こす原因となります。
放置は禁物!知っておきたい便秘の原因と種類
便秘はその原因によって大きく3つに分けられます。
原因に合わせた正しいアプローチが必要です。
習慣性便秘(最も多いタイプ)
運動不足や水分・食物繊維の不足、便意の我慢などが原因で、腸の動き(ぜん動運動)が鈍くなり、便が長くとどまることで水分が吸い取られ、カチカチに硬くなってしまうもの。
症候性(しょうこうせい)便秘
糖尿病や甲状腺の病気、あるいは大腸がんなどの持病により、腸を動かす神経が鈍くなることで起こるもの。
薬剤性便秘
。普段飲んでいる他のお薬(鎮痛薬や抗うつ薬、血圧の薬など)の副作用として、腸の動きが抑えられて起こるもの。
市販の「刺激性下剤」の使いすぎに注意!

便秘に悩む方の多くが、薬局で買える便秘薬を使っているかと思います。しかし、注意が必要なのがアントラキノン系(センナやアロエ、大黄など)に代表される「刺激性下剤」の連続服用です。
専門医のアドバイス :
腸の粘膜を直接刺激して無理やり出すタイプの薬を使い続けると、腸がその刺激に慣れてしまい、自力で動く力がどんどん弱まってしまいます。 実は、最初から安易に使うべき薬ではないのです。
現在は2017年のガイドライン更新以降、医師の処方箋が必要な「新しい仕組みの便秘薬」が次々と登場しています。これらは腸本来の力をサポートするものが多く、より自然で安全な排便を目指せます。
理想の腸を作る腸活術

がんや深刻な便秘、その他の病気を招くと言われている「腸内細菌の乱れ(ディスバイオーシス)」を防ぐには、日頃の「おなか」のケアが欠かせません。キーワードは2つの「バイオティクス」 の活用です。
- プロバイオティクス(善玉菌を摂る): ヨーグルト、納豆、味噌などの発酵食品から、生きた善玉菌を直接取り入れます。
- プレバイオティクス(善玉菌を育てる): 善玉菌のエサとなる「食物繊維」や「オリゴ糖」を摂取します。
この2つを組み合わせることで、腸内環境は整いやすくなります。
次回は、この「腸内環境の改善」について詳しく話をしていきたいと思います。
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