内視鏡検査で異常がないと言われたが、、、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアとは
胃もたれや胸やけ、お腹の張り、下痢・便秘などの症状が続き、内科や消化器内科を受診して、原因を調べるために内視鏡検査を受けたが、何も異常がみつからない、といった経験をした方はおられないでしょうか。このようなケースでは、「機能性疾患」が原因の可能性があります。そして、この「機能性疾患」の代表格として、過敏性腸症候群と機能性ディスペプシアが有名です。これらの疾患では、大腸カメラや胃カメラの内視鏡検査では「胃や腸の見た目」に異常は認めず、「機能性」という名前の通り、胃腸の動きや知覚などの胃腸の「機能」に問題があることで、さまざまなお腹の症状が現れます。
◆過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は、腸の機能(腸の運動や知覚など)の異常が原因で、お腹の痛みや、下痢、便秘などの便通異常やおなかの膨満感などの症状が数か月以上持続する病気です。大腸内視鏡検査やCT検査などの画像検査でいくら調べても、腸の「見た目」には特別な異常はなく、ストレスや食生活の影響を強く受けることが特徴です。自律神経の乱れやストレスがかかると、脳と腸の情報交換がうまくいかなくなり、その結果として、腸が動きに問題が生じて、痛みを感じやすい状態(知覚過敏)になってしまうと考えられています。ですから、ストレスや寝不足、食生活の乱れなどを避け、自律神経のバランスを整えることが、腸の症状の改善につながります。日本人のおよそ10人に1人が抱えていると言われる現代病で、当院に定期通院されている患者さんも多い疾患ですが、大腸がんや潰瘍性大腸炎などの病気と鑑別が必要となるため、症状が続く場合には、自己判断せず、消化器内科の受診をお勧めします。
特徴的な症状:
☛お腹の不快感、張り
☛腹痛
☛下痢
☛便秘
☛下痢や便秘の繰り返し
治療法 : 薬物療法、食事の改善、ストレス管理が有効です。症状が軽度の場合、生活習慣の改善が効果的な場合もあります。
◆機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアは胃の不快感や痛み、膨満感、胸焼けなどの症状が持続する疾患ですが、胃カメラや超音波検査、ピロリ菌検査などをしても食道・胃・十二指腸に特別な異常が見つからないのが特徴です。ひと昔前までは、「気持ちの問題」だとか「ストレスですね」などいわれていた訳ですが、今はそうではありません。現在では、機能性ディスペプシアという病名で、しっかり治療ができる時代になっています。日本人の5~10人中1人は、機能性ディスぺプシアと言われていますし、胃の症状で病院にかかる方の約半数が機能性ディスペプシアと診断されている「現代病」の一つといえます。食事を食べたときに胃が十分に膨らまない人や、胃の動きが悪く食事が送りだせない人は、食後の「胃もたれ」や「満腹感(すぐお腹いっぱい)」を感じやすく、食道や胃に知覚過敏がある場合には、心窩部痛や胸やけを認めます。そして、これらの症状が3か月以上にわたって慢性的に持続するのが特徴です。胃の運動機能の低下や、胃の知覚過敏、ストレスや生活習慣(不規則な生活や過食、喫煙、アルコール)などが原因と考えられています。
特徴的な症状:
☛みぞおちの痛みや胸やけ (焼ける感じ)
☛食後の不快感(胃もたれ、お腹の張り)
☛早期腹満感(少量で満腹になる)
☛吐き気やげっぷ
治療法: 薬物療法(胃酸分泌抑制薬や消化酵素など)や生活習慣、食事の見直し、ストレス軽減が有効です。
機能性疾患を診断するためには、まずは内視鏡検査で器質的な疾患(大腸がん、胃がん、胃・十二指腸潰瘍、ピロリ菌など)を除外する必要があります。そのため、 自己判断せずに消化器内科へ相談し、胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査を行うことが非常に重要です。内視鏡検査で異常がないことが確認されると、次に機能的な問題(消化管の働きや知覚)に原因があると考え、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアの診断が行われます。適切な診断と症状に合った治療で、生活の質を向上させましょう。